カキラン 葦毛湿原の花
カキラン
ラン科 多年生草本
湿地に生える30~70㎝のランと図鑑でみた。
でも、この湿原では20~40㎝くらいのものが多い。
つぼみの形を鈴に見立ててスズランの別名があるという。
けど、つぼみの形が鈴に似た花、他にもありそう・・・
そもそもカキランの名前も、花色が柿ににているから。
って、ちょっと安直にすぎないかとおもう。
でも、この渋い色、なかなか他にないのである。
せいぜい1.5㎝くらいの小さな花だが、とてもきれい。
花期は6月中旬から6月下旬。
梅雨の真っただ中で、他の草木に隠れるように咲いている。
湿原の中に多く咲くラン科の花なのに、写真がとても少ない。
その理由を考えると思い当たることが二つある。
一つは花の咲く時期がわるいことにある。
雨が降らない休みの日でないと、花に逢いに行けないこと。
そしてもう一つの理由がとても大きい。
花が短命で2~3日で終わる上に、咲いてる期間がとても短い。
つまり私的には、花に出逢えるチャンスは1~2日なのである。
きれいに咲いていたので、次週に期待して行ってみる。
ほとんどの花が終わっている。がっかり。
こんなことが当たり前の短期集中型のカキラン。
8枚目の写真は、季節外れの一輪をみつけたもの。
こんなことが、なんだかうれしい。
キンラン 葦毛湿原の花
キンラン
葦毛湿原周辺の雑木林、草地に花を咲かせる。
高さは20~40㎝くらい。
4月下旬から5月中旬頃、そうゴールデンウィーク頃に咲く。
名に恥じない、輝くようなレモンイエローの美しい花。
だけど、完全に開き切る花は少ない。
とってもシャイで、みんな半開きだ。
直径約1㎝くらいで、3~12個くらいの花をつける。
日当たりのよいところがお好みのようである。
湿原の中に見つけたこともあるが、数は少ない。
最近、数の減っている花の一つで、残念である。
毎年、期待に応えてG.W頃に花を見せてくれる。
同じ場所に咲くので、覚えておいて逢いに行く。
けれど、なかなか顔を拝めない花である。
コナラなどの樹木と共生しているキノコと深く関わっている。
キノコの菌糸を通じて生育しているらしい。
だから、掘り取って持って帰っても枯れてしまうという。
やっぱり、自然の花は、自然の中で見るだけにしたい。
オオバウマノスズクサ 葦毛湿原の花
オオバウマノスズクサ
ウマノスズクサ科 つる性の木本
花なのか何なのか、とにかく変わった形をした花である。
山地の林内に生え、長さ2~3mにもなる。
他の草木に絡みついて上より横に伸びてく印象だ。
果実が馬につける鈴に似ていることから、この名前だという。
だけど、馬の鈴と言われても今一つピンとこない・・・
花は多く咲いても果実になるものは少ないようである。
葦毛湿原周辺の山地に多く見られ、花は4月中旬から5月中旬頃。
楽器のサクソフォーンのような独特な形である。
葉っぱの下に隠れるように咲いていて、見つけにくい。
地味な花色で、きのこがぶら下がっているような感じである。
ゴールデンウィーク頃に花のピークをむかえる。
ちょっと不気味で、ユーモラスな奴である。
湿原外にも通年、いろいろ花が見られる。
それも葦毛湿原の魅力の一つである。
オカタツナミソウ 葦毛湿原の花
オカタツナミソウ
葦毛湿原の林縁で淡い青紫色の花をつける。
花期は、4月の終わり頃から5月の初め頃。
群生というより、ポツンポツンと咲いてる印象だ。
ときどき固まって咲いていることもある。
その光景は、まるで少年少女合唱団。
大きな口をあけてのコーラスのよう。
ここでは、高さは10~25㎝くらいとあまり高くない。
林縁のどちらかと言うと、湿ったところが好みのようだ。
かと言って、湿原内には見かけない。
葉っぱは、上に行くにしたがって大きくなる。
質感はシソ科らしく細かな毛が生えている。
珍しい花ではないが、見つけるとうれしくなる。
本格的な花の季節の到来を告げる。
なんか同じような写真ばかりで申し訳ない。
この花を前にすると、どうしても全体を撮りたくなってしまう。
それともう一つ。
最後の白花はオカタツナミソウなのかどうか・・・
湿原まわりの林縁にタツナミソウの仲間が他にも咲く。
しかも同じような時期に。
なるべく確実なものを拾って載せたつもりですが。
間違ってたら教えてください。よろしくお願いいたします。
バイケイソウ 葦毛湿原の花
バイケイソウ
シュロソウ科
湿原周辺の沢沿いに固まって咲いている所がある。
巷の図鑑では7~8月が花期とされている。
だけど、ここでは5月下旬から6月上旬が花期である。
花が梅に似て、葉がケイランに似ているのでこの名前が付いたという。
しかし実際には、ケイランの葉っぱには全然似ていない。
また、花も梅は5弁、本種は6枚の花びらで、由来は疑わしい。
花には独特な匂いがあって、満開の頃は匂いにむせ返る。
高さは1~2mもあり、一つの花は直径2㎝くらいで緑白色。
こんな平地に咲くのは、もったいない程の立派な花である。
この花どちらかと言えば、平地より山地が好きなのではないだろうか。
花は、雄しべはかわいらしく、花びらはストライプ柄でおしゃれだ。
色が真っ白でなく、周りの緑に埋もれてしまうのが残念である。
そして、有毒植物であることを忘れてはならない。
新芽の時、山菜として人気のあるオオバギボウシ等とよく似ている。
加熱しても毒は消えず、誤食による中毒事故が時々報道される。
誤食すると、嘔吐、手足のしびれが起きるという。
ひどいと、意識不明や死亡につながることも。
花は可愛いけど、ちょっとこわい存在でもある。
ミカワバイケイソウ 葦毛湿原の花
ミカワバイケイソウ
シュロソウ科
葦毛湿原を代表する、とても大きく立派な花である。
高さは1~1.5mくらい。遠くからでも咲いているとわかる。
4月終わり頃から5月中旬くらいに花が咲く。
それはぴったり、ゴールデンウィークなのでうれしい。
コバイケイソウの花は、ぎゅっと固まったかんじだ。
対して、ミカワバイケイソウは、どことなくのんびり間延びして見える。
愛知県と長野県という限られた地域にしか見られないらしい。
よって図鑑にもなかなか登場しないのである。
標高の低い湿地に、このような花が咲くとは信じられない。
周りのみんなが高い山に上がっていって、取り残された花という雰囲気。
芽吹いてから開花結実までの素早さは、コバイケイソウゆずりだ。
コバイケイソウは、当たり年とハズレの年が交互にやってくる。
ミカワバイケイソウは、そこまで極端な当たりハズレの年はないようだ。
その点でも、厳しさがなく、やさしさを感じる葦毛湿原の女王だ。
葦毛湿原では、昔の湿原を再現すべく、復元事業が行われている。
その成果により、湿原内にたくさんの花が見られるようになった。
バイケイソウの見事な咲きっぷりは次回ということで。
トウカイコモウセンゴケ 葦毛湿原の花
トウカイコモウセンゴケ
モウセンゴケが白花なのに対し、本種は赤花である。
葉っぱはへら型で、地面に張り付くように、伏せて生えている。
葉っぱに毛があり、先端に粘液をつけているのはモウセンゴケと同じ。
日当たりの良い、酸性の湿地を好むのもモウセンゴケと同じである。
草丈は10~20㎝。花は1㎝くらいで、桃色。
モウセンゴケより早く、6月中旬くらいから花を咲かせ始める。
そしてモウセンゴケより遅く、8月中旬くらいまで花が見られる。
花期が長いけど、個体数が少ないのか、あまり群生が見られない。
わがままで、晴れないと花を開かない。
しかもお昼頃まで花を開いたあと、しだいにしぼんでいく。
このトウカイコモウセンゴケは、なかなか図鑑に載っていない。
コモウセンゴケの変種とされている。
モウセンゴケとコモウセンゴケの、中間的な特徴を持っているとされる。
あくまで私感ですが、モウセンゴケは水浸しの所が好き。
トウカイコモウセンゴケはちょっと湿ったぐらいの所が好き。
って感じがしますが、どうなんでしょう。
難しいことは置くとして、白花のモウセンゴケは、清楚で優美。
赤花のトウカイコモウセンゴケは、美麗で妖艶。
どちらもかわいい。恐ろしいほどにかわいい。
いっぱい固まって咲いていると、ついつい写真に撮っちゃいます。
が、実際には一輪だけが咲いてる方が、圧倒的に多いです。
なんかちっちゃい花の紹介が続いたので、次は大きな花を紹介します。