ハンカイソウ 葦毛湿原の花
ハンカイソウ
キク科 多年生草本
低山帯の湿った林に生える。
高山のメタカラコウやマルバタケブキと同じ仲間。
葦毛湿原では、湿原内や沢沿いでみられる。
花期は5月中旬から6月初旬くらい。
高さは0.7~1.5mで、花の直径は8㎝くらい。
細かく切れ込んだ葉っぱが特徴的。
しかも直径30㎝にもなろうかというくらいに大型。
黄色の大輪の花は遠くからでも見つけやすい。
ハンカイソウの名前はその豪壮な様子からだという。
中国漢代の武将ハンカイに例えたとのことだ。
よくわからないが、立派な人物だったのだろう。
ただ個人的な意見として「虫に好かれる花」の印象だ。
けっこう花や葉っぱが虫に食われてる。
また、花期が短いのでなかなかいい花に出会えない。
最期に、かぼちゃのようなつぼみもかわいい。
なかなかきれいな花にお目にかかれない。
私と相性の悪い花なのかもしれない。
キセルアザミ 葦毛湿原の花
キセルアザミ
キク科 多年生草本
湿地に生える花のつき方に特徴のあるアザミの一種。
湿原内で抜きんでて、うなだれるように咲いている。
高さは0.5~1mくらい。
花径は4~5cmくらい。
花期は9月中旬から10月中旬。
秋に湿地内に咲くアザミは、ほぼこのキセルアザミ。
花期に根生葉があり花茎に葉がほとんどつかない。
というか、小さくて目立たない。
まばらについた小さな葉っぱと拝んだような花。
遠目に見ると、地面から花だけ出しているかのようだ。
その様子から煙管薊(キセルアザミ)と名付けられた。
別名はマアザミ。
えっ?本当のアザミ?
いやいや漢字で馬薊(マアザミ) 納得だ。
横向きや斜め下向きに花が付き、だんだん上向きになる。
と図鑑を調べたら書いてあった。
けど、つぼみの時から上を向いてるのもいる。
ひねくれ者なのかもしれない、私のように。
花は、どこかドライフラワーのような生気のなさを感じる。
それはわたしだけかも知れないが。
ただカラフルできれいなつぼみに感嘆する。
グリーンからピンクのグラデーション。
ほんとにうつくしい。
煙管などという古めかしい名前。
今の人ならなんと名付けるだろうか。
ドライバーアザミ?マゴノテアザミ?
・・・・・
やっぱりキセルが一番かな。
トキソウ 葦毛湿原の花
トキソウ
ラン科 多年生草本
日当たりのよい湿原や湿地に生える多年草。
根茎が横にはい、所々から地上に茎を立てる。
ここでは群生はせず、湿原内にポツポツと咲く。
ここらあたりに咲きしぼみ、あちらあたりに咲きしぼむ。
まるで花どうし申し合わせて、咲く順番を待ってるみたいだ。
花期は5月下旬から6月下旬。
高さは15~25㎝くらい。
花の径は3~4㎝。
その花色がトキの羽の色を思わせるところからトキソウだという。
といわれても、そもそも絶滅寸前のトキを見たことがない。
昔は、田んぼにいるサギのようにいっぱいいたのだろうか。
トキが翼を広げた時に翼の下が薄いピンク色をしているらしい。
これを朱鷺色というのだそうだがピンとこない。
実物は、薄紫というか、かすんだようなピンク色である。
花の少し下に、小さな葉っぱ(苞葉というらしい)が付く。
背後霊のようなその葉が写真をとるのに邪魔くさい。
なんて言ったら、トキソウに失礼。ごめんなさい。
葦毛湿原に咲くラン科の代表にサギソウがある。
こちらは一見して、名の由来がサギの飛翔姿とわかる。
その的を射た命名と見事な造形に感心する。
そして野生ランらしい気品をただよわせている。
サギソウ VS トキソウ もうひとつ。
サギソウは低地、トキソウは低地から高地まで見られる。
同じような写真ばかりで、ごめんなさい。
微妙に違う表情をお楽しみ、ということにしておこう。
ノカンゾウ 葦毛湿原の花
ノカンゾウ
ワスレグサ科 多年生草本
高さ30~50㎝くらいになる。
7月上旬から下旬にかけて大きな花を咲かせる。
花の直径は7㎝くらいだろうか。
葦毛湿原に咲く花のなかでも、格別大きくて美しい。
花色は橙赤色から赤褐色まで変化がおおい。
別名ベニカンゾウとも呼ばれている。
日の当たる湿ったところがお好きなようである。
よって、どこにでも咲いているわけでなく、あまり見かけない。
普通には田の畔や池の畔などに咲くことが多いという。
ニッコウキスゲなどと同じ仲間である。
一日花で、その日咲いた花は夕方にはしぼむ。
控えていたつぼみがふくらんで次々に開花する。
ただ咲いている期間が短いので、花を見逃す年もおおい。
ヒメロカリス、デイリリーなどの園芸品種がこの花をもとに作出された。
一回り大きな花で八重咲きのヤブカンゾウを駐車場で見たことがある。
こちらは湿ったところは好まないようだ。
ヤブカンゾウの一重咲きの変種がこのノカンゾウだと言われている。
けど、どっちが変種なのだろうか。
同じような写真ばかりで申し訳ない。
貧栄養な湿原内では背の低い個体がおおい。
他の植物に埋もれるように咲いていたりする。
それでも派手ないでたちは誰にも負けない。
スルガテンナンショウ 葦毛湿原の花
スルガテンナンショウ
スルガとつくのは旧国名の駿河(静岡県)で見つかった事による。
特有な花の形で、マムシグサの仲間だろうとわかる。
高さ20~70㎝くらいで、特別大きなものはここで見ていない。
花期は3月中旬から4月中旬ごろ。
なかにはゴールデンウィーク頃に咲いているものもある。
マムシグサの仲間でムロウテンナンショウの亜種とされている。
別名、エンシュウテンナンショウ。
葉っぱは2枚となっている。
真上、真横から撮影した写真を見て、2枚かぁと納得する他ない。
仏炎苞(付属体)は黄緑色でとてもきれい。
しかもこの種の特徴で、先端が白く球状になり前方に曲がっている。
雌雄異株で環境により性転換するらしい。
よくわからないが、いかにも怪しげな花である。
けれど、黄緑色で透明感をもつ花は美しいとおもう。
そして、葉っぱの造形もなかなかすばらしい。
意外にも写真が少なく困ってしまった。
咲いてる姿はけっこう見かけていたのに・・・
図鑑もどきなものを作ろうという意識もなかったので。
と言い訳しておこう。
ノハナショウブ 葦毛湿原の花
ノハナショウブ
アヤメ科 多年生草本
6月中頃、湿原内の所々に明るい紫色の花を咲かせる。
花の中央に黄色の斑紋があって、その部分がよく目立つ。
高さ40~80㎝くらいで、山野の湿った草地に生える。
地下茎で横走して群生する、と図鑑にある。
けれど、ここでは群生といえるほど多くない。
園芸植物のハナショウブはこの花の改良品種だそうだ。
この湿原の中でも、屈指の大輪の花である。
そして優雅で凛とした佇まい。
でも、写真が少ない。なぜかと考えてみる。
理由はふたつ。
まず、咲いてる期間がとても短いこと。
そして、その期間が梅雨の真っただ中なことである。
さらに咲く時期が年によって、前後したりするので・・・
写真がない言い訳は、このくらいにしておきましょう。
花の構造はなかなかに複雑である。
今年は6月27日に見に行ったけど、収穫0。
すでに花は終わっていたのです。
ホントはいい写真をここに載せる予定だった。
と負け惜しみを言っておしまいとします。
テイカカズラ 葦毛湿原の花
テイカカズラ
キョウチクトウ科 常緑つる性
直径3㎝くらいの花を5月中旬から下旬に咲かせる。
くねり、ねじれた花は船のスクリューを思わせる。
花は最初は白く、だんだん黄ばんでくるようだ。
若木の頃は、林床をはって過ごすという。
気に入った?木や岩などを見つけると這い上がる。
茎から付着根を出して、他のものにしがみつき成長する。
条件がいいと、瞬く間に成長し花を咲かせる。
絡みつかれた木から栄養分を頂くわけではなさそうだが・・・
以下の写真で見る限り、絡みつかれた木はたまったものではない。
葉や茎を切ると、白い乳液が出て、有毒らしい。
定家は彼女だった式子内親王のことを、死後も忘れられなかった。
ついには彼女の墓に、定家葛に生まれ変わって絡みついたという。
果実は長さ20㎝ほどになるというが、見ていません。ごめんなさい。
木に絡みついて咲く姿を見ると驚く。
おびただしい数の花だ。
しかも元の木でなく絡みついた葛の花とは。
果実も是非見てみたい。